【モバマス】346プロのTさん
結婚をしていた事も無いのに、未亡人の様に扱われるのです。
プロデューサーさんには、「儚げな色気がある」と言われます。
けれど、初めて出会った大切だと思える人にそう思われるのは、とても、複雑です。
「あっ、あそこに居るの、アイドルの三船美優さんじゃない?」
「ホントだ。まるで、ここまで未亡人の儚げな色気が漂ってくるみたいだ」
街を歩くと、いつもこう言われてしまいます。
褒められているのはわかっているし、悪気は無いともわかるんです。
……それでも、未亡人扱いされるのは、悲しいです。
だって、私の大切な人は、今も生きて、私に笑いかけてくれているのに……!
「笑顔です!!」
唇を噛み締め俯いていた私は、突然かけられた低い男性の声にハッと顔をあげました。
この方は、確かシンデレラプロジェクトの、プロデューサーの……。
それに、今の言葉は、一体?
「貴女の大切な方に……そして、ファンの方達に向けるのは、その表情で良いのでしょうか?」
私は、ハッとなりました。
確かに、私は未亡人の色気があるとも言われますが、あの人にいつも褒められるのは、笑顔。
あの人と一緒に居ると自然に出る、笑顔を褒められていたと、思い出しました。
そんな大切な事を思い出させてくれた男性は、警察の方から職務質問を受けています。
私はまず、その男性に向けて、思い出させてくれた笑顔を向けました。
「良い、未亡人の様な笑顔です」
やっぱりプロデューサーって凄い、私は改めてそう思いました。