【わたモテ】むしゃぶりつくうちもこ
少しずつ公開しないと書く気起こらねえなこれ、になってスレ建てたので、書き溜めはない
笑美莉《えみり》は智子《ともこ》にむしゃぶりついた。
朝の冷たさにその身を縮《ちぢ》ませて、ひとりきり、わずかに肩を震《ふる》わせた彼女の立ち姿は武者震《むしゃぶる》いに似ていた。
何よりも、彼女の鬼気迫ったまなざしが。
首元から太もものあたりまでをゆったり包む落ち着いたベージュ色、ステンカラーコートの装《よそお》いには、意中の相手に少しでも大人っぽく見られたいという彼女の期待が反映されているのかもしれない。
全身に、緊張によるこわばりが見て取れた。
胸の前に交差して組まれた腕は、まるで彼女を守る鎧《よろい》のように頑なだった。
鎧の内側には、二月の寒空に似つかわしくない軽装と、痩せて骨ばった少女の身体と、柔らかい心があった