【ペルソナ5】春のまにまに
このコーヒーは私が淹れたものではない。四軒茶屋にある喫茶店「ルブラン」。この屋根裏に暮らす彼が、先ほど下で淹れてくれたものだ。
階下にある店舗は既に営業を終えており、おじ様は気になる台詞を残して帰宅してしまった。
「嬢ちゃん、あまり遅くならないようにな。お前にも一応言っとくが……、いや、なんでもねぇ。ごゆっくり」
おじ様は彼に何を伝えようとしたのだろう。言い方からすると警告のように思えるけれど……。何かを言いかけてやめた、その間が凄く気になって、おじ様が扉の向こうに消えてから二人で照れ隠しのように微笑みあった。