騎士「…………」 後輩騎士「暇っすねー」
後輩騎士「でも、来日も来日もこうして突っ立ってるだけじゃないっすか。魔物だってこの辺までは来ませんし」
騎士「我々の暇は即ち平和ということだ」
後輩騎士「先輩だって剣振り回してる方が性にあってるでしょう? 皆には隠してるみたいっすけど、俺知ってんすよ先輩の腕」
騎士「……黙ってろよ?」
後輩騎士「隠してることわざわざ言うほど性格悪くないっすから。あーあ、あんな奴らじゃなくて先輩が旅に出れば良いのに」
騎士「俺は街を守るためにここにいる。世界を守るのは、勇者の宿命だ。俺は勇者の血筋ではない」
後輩騎士「変な話っすよね、勇者じゃないと魔王は倒せないって。勇者なんて結局血だけで腕は先輩には及ばないってのに」
騎士「………………」
後輩騎士「ま、先輩が不満ないってんなら挟む口もないっすけど。俺だって剣もってかっこ良く戦いたいっすよ」
騎士「平穏無事日が過ぎる。それ以上望むことはない」
後輩騎士「夢がないっすねぇ」
騎士「俺たちが戦っているのは現実だからな」
後輩騎士「はいはい……」
騎士「………………」
後輩騎士「お、勇者一行か。これから旅立つみたいっすね」
騎士「そのようだな」
後輩騎士「国をあげてのお見送りって羨ましいなぁ。にしても女ばっかりで。あんなんに世界任してほんと大丈夫なんすかね?」
騎士「さぁな。託すのみだろう」
後輩騎士「あいつらがダメだったらそんときは先輩とか俺らに声がかかったり?」
騎士「あり得んな。国王が自己を守る為の戦力を減らすとは思えん。本当なら勇者一行も手もとに置いておきたいだろうさ」
後輩騎士「ははっ、確かに。おっと……」
ザッザッザ
女勇者「……それでは! 行ってきます!」
わーわー!
騎士「………………」
後輩騎士「………………」
ザッザッザ
後輩騎士「行きましたね。あーあ、俺も旅に出てぇなぁ」
騎士「勝手に出てろ」
後輩騎士「先輩は冷たいしなぁ」